日々草


先日、連絡先に無い人より携帯に電話がありました。
出ると、若々しい声で「片岡さん お世話になっている横浜の〇〇です」と親しげな声
横浜に知り合いや親戚が無いでもないが、その名前に心当たりがない。
たぶん健康茶を購入して頂いた方か、薬草で検索してうちの古い方の薬草苗販売のホームページを見て電話をされて来た方だろう?
話を聞くと「ニチニチソウを摂取しても大丈夫ですか?」との事であった。ニチニチソウはキョウチクトウ科でビンカアルカロイドと呼ばれる幾つものアルカロイドを含むが「薬に使用される位だから少し位は大丈夫だろう」と答えると「何に効きますか」と聞くので「ガンに使われているね」と答えと「やっぱり」との言葉。
一瞬間を置いたあと「どう使用しますか」との問いに「民間療法では乾燥して粉末で利用されていると思う」と答えると「生葉はどうですか」と聞いてきたので「生は利用に限定されるが生葉が有れば生でも良いのではないか」と返答すると「量はどの位ですか」と追いかけて聞いてくるので「昔の記憶だけれど、確か1日葉を5枚までだったと思う」と答えると、「有難うございます」と答えたので電話を切った。
どうやら相手は本人か関係者が癌が見つかり、ニチニチソウの民間治療を何処かで知って、葉を食べてみたけれど心配になって、私に電話を掛けて来た様だ。
かっては、澤井さんが本を出した事もあって、治療をする術がなくなった末期ガン患者等が、ニチニチソウを使う事が増え、私も薬草苗の一つとして販売をしていました。
たぶん闇でニチニチソウの粉末が売買されていたようで、うちにも粉末は無いかとの問い合わせがあった物です。もちろん販売どころか製造もしておりません。
それもいつの頃からか苗も売れなくなり、大学の薬草園からの注文が有った位で、近年はニチニチソウの話も聞かなくなっていたが、久しぶりに問い合わせを受けました。
帰って資料を調べて見ると、毒性のアルカロイドを薬として利用するには有効幅が狭くて適量は体重によって異なるとの事でした。
ニチニチソウの有効成分であるビンクリスチンは体重60キロの人が青汁や粉末で服用する場合は1週間で6ミリグラム以下、1日1ミリグラム程度(生の葉なら小指大以上で5枚以内、乾燥粉末で有れば1g以内)であれば危険性はなく、ガンだけでなくリウマチなど様々な薬効が期待されるとの事です。
また、入浴剤にするとアトピーにも効くとの事ですから、お悩みのは試してみては如何でしょうか、葉から根までを乾燥させ、一掴み程を不織布の出汁袋などに入れ、お風呂に浮かべ、10分から20分程浸かるのだそうです。使った後は良く絞ってビニール袋などに入れて冷蔵庫で保管すれば10回くらい使えるのだとか? もちろんこれらは民間療法で有り、科学的根拠はありません。
良く知られているのは、ニチニチソウの特許を巡る争いです。1964年に名市大病院の故・稲垣勲教授が「日々草エキスが癌に対して延命効果が有る」と発見され、ニチニチソウの中の120種類のアルカロイドの中でビンクリスチンとビンブラスチンに抗ガン作用があるとされました。
1968年、アメリカのゴルマン博士がニチニチソウに含まれているアルカロイド化学構造を解明し、抗ガン作用が有る事を発表。1950年代後半、カナダのロバート・ノーブル博士ら、およびアメリカの巨大製薬企業イーライリリー社の研究者らが、民間療法で糖尿病に効くとされていたニチニチソウから、強力な抗腫瘍(抗がん)作用を持つアルカロイド「ビンブラスチン」と「ビンクリスチン」をそれぞれ独立して発見・単離して、製法特許を得ました。
そこで稲垣教授とエーザイや他の製薬会社の研究員たちは研究してこの特許に触れない製造法方で、抗がん剤を作る事に成功したのです。
この問題が日米の特許を巡る争いのキッカケになり、医薬品の物質特許(新薬の有効成分となる新規な化学物質そのものに付与され、最も広い権利範囲を持つ特許。 発見・創作された化学物質そのものを保護する特許で、化学式(構造式)によって特定され、製法が違っても 発見・創作者の権利が守られます)が日本でも成立しました。
エーザイの特許は成立しましたが、現実問題としてビンクリスチンとビンブラスチンはニチニチソウから取れる量は微量である事から、日本で農家に栽培委託をしても工場を回す原料の確保には難が有りました。
イーライリリー社は神奈川県の面積と同じくらいの畑を持っていた事と、製造特許の網が完璧で、製造過程の何処かで抵触してしまうので、最終的にはイーライリリー社から中間原料や、必要なライセンスを購入して製造する事になったと言われます。
薬草など、有機原料の薬品は、世界を相手にしようとすると、原料生産には膨大な面積が必要で世界各地に大プラーンテション網を築いた所が総取りになる様です?
同じ様な話を十数年前に京都の日本新薬でお聞きした事が有ります。日本新薬はオオヤトゥルーシーで有名な故・大矢泰司氏から、アシュワガンダの有効性を勧められ、調査をしたところアメリカの会社がインドやパキスタン等で膨大な農園を持ち、世界中にエキスを販売しているから、そこから購入して清水だったかの子会社で錠剤にしてサプリ各社に販売しているとお聞きしました。
結局はアシュワガンダが薬指定をされてサプリビジネスが成立しなくなり、子会社も整理された様で? 壬生ヨモギで起こった会社なのに、有機原料からは手を引いたとの噂です。
植物を大量に植えて刈り取る「農業ベースの調達勝負」には限界があるため、世界の製薬会社は「化学合成(工場でゼロから分子を組み立てる)」や、「バイオテクノロジー(遺伝子組み換え菌や細胞に成分を作らせる)」へとシフトしていきました。
話が飛んでしまいましたが、ニチニチソウには抗ガン物質が含まれているが、120の含有アルカロイドの中での2つで有り、極めて微量である有るのに対し、危険なアルカロイドが多い事から摂取は一日生葉5枚が許容量であり、有効成分が極々少量である事です。
それを越えると治療ではなく逆に悪化してしまいます。この事から、民間療法としてのニチニチソウは末期ガン患者に対して、患者や関係者の何とかしたい、してあげたいとの気持ちを満たす、QOL(Quality of Life 患者が自分らしく満足できる毎日を送れる幸福度や心地よさ)を高めるのには有効だと考えます。
もちろん、利用はお医者さんに相談のうえですね。
写真の草にまみれたニチニチソウは、かって名市大の稲垣教授の話を聞かれた、当時岐阜県武儀町役場に勤めて見えた澤井繁さんが、名市大の薬草園からニチニチソウを譲り受け、知り合いの癌患者やその他の方に分け与えていたニチニチソウの末裔です。澤井さんが亡くなられた後、隣の鈴鹿市の方が自宅を訪れて種を譲りうけてきて、栽培さていた物を更に譲って頂きました。
ところが私の入院などで途絶えてしまったのですが、私が10年程前にお売りした方が、未だ栽培を続けて見えるとの事で、種をお送り頂き、種は沢山有ったのですが、今年の暑さで、このような量となりました。
同じニチニチソウなので、変わりはないのですが、由緒正しき系統のニチニチソウと言う事で、見ていても楽しくなります(笑)

